アジア布通信 第20号より
■ 先日は”土用の丑”の日でした。
ところで、この”土用”の期間というのは、 夏だけじゃなく、
春夏秋冬のそれぞれに、 18日間づつあるって知ってました?
■ これは、中国の「陰陽五行説」という 自然哲学に基づいているのです。
五行説では、季節、色、方位など、
ありとあらゆる物事を、すべて ”木、火、土、金、水”の5つの元素に分けます。
そして、その組み合わせから、吉凶を判断します。
土用は、五行では、土の元素に属し、色は黄色、方位は中央です。
土は地をあらわし、地は万物のベースとなるものなので、
四季それぞれに、土用という季節があるのです。
春は、木の元素に属し、
色は青、方位は東です。
夏は、火の元素に属し、
色は赤、方位は南です。
秋は、金の元素に属し、
色は白、方位は西です。
冬は、水の元素に属し、
色は黒、方位は北です。
■ この、5つの色は、日本に伝わって、
いまでも、神事で使われる、五色の垂れ幕などに見られます。
また、七夕の歌のなかにも、「五色の短冊♪」というフレーズがありますね。
これも、古来は五色の絹布を飾っっていたそうです。
他には、相撲の土俵上の屋根に下がる房の色なども、
五行の方位と、色に合わせてあるそうです。
古来の染色では、青は藍、赤は茜、黄色は黄檗やえんじゅの実など、
黒は矢車の実や五倍子で染めたのではないかといわれています。
陰陽五行説については、吉野裕子さんという方の著書に詳しいのですが、
日本の風習の隅々にまで影響を与えていて、
結構、目からうろこのことも多いですよ。
最近人気の風水インテリアなども、この考え方をベースにしています。
■ インドやバリなどのヒンズー教の国々でも、独特のシンボルカラーがあります。
ヒンズー教では、創造の神 ブラフマー、維持の神 ヴィシュヌ、
破壊と再生の神 シヴァ、の三神が、世界を司っているといわれます。
この三神はそれぞれ、赤(ブラフマー)、黒(ヴィシュヌ)、白(シヴァ)の
三色で表されます。

この、色の組み合わせは、
バリ島テンガナン村のダブルイカット(縦緯絣)、
グリンシンの色でもあります。
ちなみに、グリンシンの赤は、スンティと呼ばれる茜、
黒は、藍にジャンバルという木の染料をかけて、
よりダークな色に染めたものです。
■ また、ヒンズー教では、オレンジがかった黄色、
タイや、ビルマなどの仏教国では、黄色が、
それぞれ、僧侶の着る衣の色であり、 聖なる色とみなされています。
それに対してイスラム教国では、 緑色が聖なる色とされています。
■ 特殊な色としては、紫があります。
中国や日本では古来、高貴な色とされてきました。
源氏物語でも、物語全体を貫く基調色として、 取り上げられています。
西洋の紫が、”皇帝の紫”と呼ばれる、
貝から抽出した染料で染めたものだったのに対して、
中国、日本の紫は、漢方薬でもある紫根で染めたものです。
しかし、ビルマやスリランカ、パキスタンといった国では、 タブーの色とみなされているそうです。どうしてなんでしょうね。
■あと、変わったところでは、 タイの”曜日色”なんてのもあります。
タイでは、各曜日の守護神と、そのシンボルカラーが決まっていて、
自分が生まれた曜日に、その色の服を着ると、 とっても、縁起がいいといわれているそうです。日曜日は赤、月曜日が黄色、火曜日がピンク、水曜日が緑、
木曜日がオレンジ、金曜日が青、土曜日が紫だそうです。
なんだか、楽しそうですね。
■ 各国のお国柄によって、色のもつ意味が変わってくるなんて
おもしろいと思いませんか?
今度、アジアの布を見るときは、 こんなこともチェックしてみてくださいね。