アジア布通信

アジア布通信 第20号より

 先日は”土用の丑”の日でした。
ところで、この”土用”の期間というのは、 夏だけじゃなく、
春夏秋冬のそれぞれに、 18日間づつあるって知ってました?

これは、中国の「陰陽五行説」という 自然哲学に基づいているのです。
五行説では、季節、色、方位など、
ありとあらゆる物事を、すべて ”木、火、土、金、水”の5つの元素に分けます。
そして、その組み合わせから、吉凶を判断します。
土用は、五行では、土の元素に属し、色は黄色、方位は中央です。
土は地をあらわし、地は万物のベースとなるものなので、
四季それぞれに、土用という季節があるのです。

春は、木の元素に属し、
色は青、方位は東です。

夏は、火の元素に属し、
色は赤、方位は南です。

秋は、金の元素に属し、
色は白、方位は西です。

冬は、水の元素に属し、
色は黒、方位は北です。

この、5つの色は、日本に伝わって、
いまでも、神事で使われる、五色の垂れ幕などに見られます。
また、七夕の歌のなかにも、「五色の短冊♪」というフレーズがありますね。
これも、古来は五色の絹布を飾っっていたそうです。
他には、相撲の土俵上の屋根に下がる房の色なども、
五行の方位と、色に合わせてあるそうです。
古来の染色では、青は藍、赤は茜、黄色は黄檗やえんじゅの実など、
黒は矢車の実や五倍子で染めたのではないかといわれています。

陰陽五行説については、吉野裕子さんという方の著書に詳しいのですが、
日本の風習の隅々にまで影響を与えていて、
結構、目からうろこのことも多いですよ。
最近人気の風水インテリアなども、この考え方をベースにしています。

インドやバリなどのヒンズー教の国々でも、独特のシンボルカラーがあります。
ヒンズー教では、創造の神 ブラフマー、維持の神 ヴィシュヌ、
破壊と再生の神 シヴァ、の三神が、世界を司っているといわれます。
この三神はそれぞれ、赤(ブラフマー)、黒(ヴィシュヌ)、白(シヴァ)の
三色で表されます。
グリンシン
この、色の組み合わせは、
バリ島テンガナン村のダブルイカット(縦緯絣)、
グリンシンの色でもあります。
ちなみに、グリンシンの赤は、スンティと呼ばれる茜、
黒は、藍にジャンバルという木の染料をかけて、
よりダークな色に染めたものです。 

 また、ヒンズー教では、オレンジがかった黄色、
タイや、ビルマなどの仏教国では、黄色が、
それぞれ、僧侶の着る衣の色であり、 聖なる色とみなされています。
それに対してイスラム教国では、 緑色が聖なる色とされています。

 特殊な色としては、紫があります。
中国や日本では古来、高貴な色とされてきました。 
源氏物語でも、物語全体を貫く基調色として、 取り上げられています。
西洋の紫が、”皇帝の紫”と呼ばれる、
貝から抽出した染料で染めたものだったのに対して、
中国、日本の紫は、漢方薬でもある紫根で染めたものです。
しかし、ビルマやスリランカ、パキスタンといった国では、 タブーの色とみなされているそうです。どうしてなんでしょうね。 

あと、変わったところでは、 タイの”曜日色”なんてのもあります。
タイでは、各曜日の守護神と、そのシンボルカラーが決まっていて、
自分が生まれた曜日に、その色の服を着ると、 とっても、縁起がいいといわれているそうです。日曜日は赤、月曜日が黄色、火曜日がピンク、水曜日が緑、
木曜日がオレンジ、金曜日が青、土曜日が紫だそうです。
なんだか、楽しそうですね。


各国のお国柄によって、色のもつ意味が変わってくるなんて
おもしろいと思いませんか?
今度、アジアの布を見るときは、 こんなこともチェックしてみてくださいね。