月1回お送りしている、アジアの布をテーマにしたメールマガジン”アジア布通信”を
再編集したページです
アジア布通信 第32号より
■ さて、わたしは、昨日はお休みで少し時間があったので、
自宅で「ヘナ」をしておりました。
「ヘナ」とは、インドや中近東で、
主に、髪染めや、トリートメント剤として愛用されているハーブです。
最近は、大きいドラックストアなどでも見かけるようになったので、
ご存知のかたも多いでしょう。
古くから、医療や染料として使われ、 インドでは、結婚式の際、花嫁の手の平や甲に、
吉祥や魔よけの美しい模様を描く染料(メヘンディ)としても有名です。
わたしの場合は、市販の髪染めのあのケミカルな刺激臭がどうしても我慢できず、
美容師の友人に紹介されて以来、ずっと愛用しています。
漢方薬のようなハーブの匂いで気分もリラックスするし、
髪や地肌の調子もいみたい。
インターネットでも、ずいぶん販売サイトが増えてきました。
それで、何気に「ヘナ」のサイトなどを覗いていましたら、
なかなか面白い情報をみつけました。
■ 「ヘナ」は乾燥粉末状のハーブをお湯で練って、
泥状にしたものを、髪に塗って染髪します。
インドでは、その際、「メヘンディボール」と呼ばれる
小さな鉄鍋を使うのだそうです。
これによって、髪がより染まりつきやすくなるとか。
つまりは、染色でいう”鉄媒染”ですね。
■ 染色をやっていらっしゃる方はご存知でしょうが、
草木で布を染める場合には、必ず”媒染剤”を使います。
草木に含まれる色素は、ほとんどに場合、煮出すことによって取り出されます。
つまり、「水に溶ける」状態です。
しかし、布に染めついた後では、洗濯などによって落ちてしまうことがない様、
「水に溶け出さない」状態でなければなりません。
そのため、アルミや、鉄、銅などの金属を含んだ”金属塩”の力をかりて、、
分子レベルで繊維と色素が結合して離れないようにします。
いわば、糊の役目をするわけですね。
■ インドのヘナはこの原理を応用しているわけですが、
日本においても、生活の中のちょっとしたアイデアとし 言い伝えられています。
たとえば、お正月に食べる黒豆。
昔から伝わる知恵として、
錆びた古釘を入れるといい色になるといわれています。
これも、鉄媒染を利用したものですね。
同じような効果として、 ナスの漬物を鮮やかな青紫にするのにも、
鉄釘をいれるといいといいます。
黒豆とナスには、同じアントシアニンという色素が含まれていて、
どちらも、鉄で強く発色するのです。
また、栗きんとんの黄色を鮮やかにするのには、
染色にも使われる「くちなし」の実の液をいれますが、
芋を前もって焼きミョウバンにつけておくと
より鮮やかになるといわれます。
これなどは、染色とまったく同じ工程ですね。
■ ほかに、何かないかなと考えていて、 「ワイン」はどうだろうと思いつきました。
赤ワインのあの美しい赤を出すために、 何か秘訣がありそう...?
調べてみたら、やっぱりありました!
それは、ワインを熟成させる”オークの樽”です。
布染めでは、木綿など染まりにくい繊維を濃く染める場合
「タンニン」を多く含む植物で下染めすることがあります。
タンニンが金属塩のような媒染剤の役割をするためです。
タンニンはほとんどの木の木質部や虫こぶなどに含まれています。
ワインの樽に含まれるタンニンは熟成の間に少しずつ染み出して、
ワインの風味を良くすると同時に、 葡萄の皮のアントシアニン色素と結合して、
より深く美しいワインレッドを作り出すのだそうです。
■ 草木染めというと、工芸という比較的狭い世界のものだけのように捉えられがちですが、
こうして考えると、まだまだいろんなことに応用できそうな気がしますね。
そういえば、最近、手作りコスメが話題になっていますが、
自分で茜やベニバナの色を組み合わせて、
オリジナルのリップをつくるなんていうのもいいなー。
今度、チャレンジしてみようと思います♪
Azusa Fukushima (03/2/17)