アジア布通信

月1回お送りしている、アジアの布をテーマにしたメールマガジン”アジア布通信”を
再編集したページです

草の糸アジア布通信 第19号

■ 7月に入ると、梅雨の晴れ間の日差しの強さはもう真夏。
うだるような暑さの日も増えてきます。
こんな日が続くと、根がオタッキーなわたしは、
ついつい、外にでるのがおっくうになっちゃいます(^^;)
でも、どうしても、この時期にやっとかなきゃいけない外仕事があるんです。

それは、”草の糸”つくり。
何年か前に、野山に自生している草からとった糸で、
布を織っていらっしゃる作家さんの話を読んで、
自分でも、やってみようと思ったのがきっかけです。

■ 素材は、主に”からむし(苧麻)”が中心です。
”からむし”は、イラクサ科の麻植物で、
越後上布などの、夏の高級織物の素材として有名です。

わたしの家から、近くの山までは、車で5分ほど。
最初は、本当にそんな近くに、野生のからむしが生えているのか、疑っていました。
しかし、いざ探してみると、あるわあるわ…。
山の中に入るまでもなく、道沿いに藪のように群生しているではありませんか。
”からむし”は長さ15cmくらいの大きなハート型の葉が、
交互についているのが特徴で、慣れれば見分けるのは簡単です。

ただ、7.8月ごろには、1m以上の高さまで成長するので、
刈り取るのは、結構大変な作業です。
虫や、蛇なども出てくるので、
長袖、長ズボン、長靴、軍手の完全防備で出動します。

■ 刈り取った草は、その場で葉を落として、
持ち帰ってから、いったん水につけます。
これは、表皮をはがしやすくするためで、
はいだ表皮が糸の原料となります。

 それから、”皮剥ぎ”の作業に入ります。
これは、簡単で、蕗やセロリの要領で、
ポキッと折ってから、スーッと横に引っ張ると、
面白いように、皮がむけていきます。

 このままでは、硬い外皮が残っているので、
今度は”苧引き”という作業に入ります。
これは、スケーパーのような平たい刃物で、
外皮と、内側にこびりついているわたを削り取っていくものです。
削り取った後の内皮は、薄緑色に透き通って、本当にきれいです。
ただ、野生のものなので、アクが強く、
終わったころには、手がまっ茶色になります。

 この内皮を乾燥させれば、素材の完成です。
ここまで、まる一日がかり。
それでいて、車一杯取ってきた草が、
糸にすると、ほんの一握りになってしまい、
ちょっとトホホな気分(;;)

■ なぜ、そこまでして糸をつくるかというと、
やはり、市販の糸にはない味があるからなのです。
微妙に変化する色合いといい、
ザックリしたワイルドな手触りといい、
タペストリーなどのちょっとした隠し味に使うだけで、
とても、いい感じになります。

また、からむしの繊維はとても強靭で、
1〜2ミリほどの糸を力一杯引っ張っても、 なかなか切れません。
これが、野山の草から取れるということに感動してしまいます。
刈ったあとからどんどん生えてくるので、 資源は無尽蔵ですしね。

■ からむしの他にも、”葛”で作ってみたこともあります。
葛の場合は、長いつるをぐるぐる巻き取りながら刈っていきます。
それを、いちど大きな釜でゆでてから、
刈り取った草を積んだ上にのせ、
上からも、草をかぶせて”室(むろ)”をつくります。
それを炎天下に2.3日放置して、
外皮を腐らせます。
流水で洗い流すと、
白い雪のような葛の繊維があらわれます。

■ からむしも、葛も、その気になって探せば、
街中の空き地や、川の土手などに、いくらでも生えています。
ちょっと、変わった糸をおさがしの方は、
一度トライしてみてはいかがでしょうか?
ただ、その場合、取ろうと思っているうちに、
草刈りのおじさんにきれいさっぱり刈られてしまった、 なんてことも多々あるので、
くれぐれも、お早めに!(^^)

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おすすめリンク

おすすめリンク 「からむし織」

福島県昭和村のからむし織りのページ。
栽培から糸つくり、織り作業まで。

おすすめリンク 「掛川手織葛布」

静岡県掛川市の伝統的な葛布つくりについて。

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Azusa Fukushima 7/7/2001