アジア布通信

月1回お送りしている、アジアの布をテーマにしたメールマガジン”アジア布通信”を
再編集したページです

 

ラオスの織物 〜〜2度目のラオス訪問〜〜


今年2月中旬に再びラオスを訪れる機会がありました。 
今回の訪問先は ラオスの古都ルアンパバーン (またはルアンプラバン)、
世界遺産にも登録されているラオスいちの観光地ですね。
ラオス第2の都市ということですが、こじんまりした小さな町で景色も人びとも素朴です。
ルアンパバーンへは首都ビエンチャンから飛行機で30分ほど、
距離にしてビエンチャンから北に約350キロ。    
時間と体力のある場合はバスで行く方法もあり、所要時間は8時間くらいだそうです。
ルアンパバーンから約4キロほどのところにパノム村と言う、織物で知られた、ルー族の村があります。
町からはトゥクトゥクで10〜15分くらいでしょうか。
パノム村にトゥクトゥクはないらしいので 時間制でチャーターしたほうがよいようです。
そうとは知らずに、運転手が「1時間いくらいくらで待つ」 と言うのを断ってしまいました。
幸い他の観光客がトゥクトゥクで現れたので 帰りに相乗りさせてもらいました。
小さな村ですが ルアンパバンからすぐの 織物の村ということで 
結構観光客が訪ねてくるようです。

着いた村は思ったより閑散としていました。
村に着いてすぐの家で織物をしていたので早速見せてもらいました。
若い娘さん、見た所14〜5才と言った感じの子たちが 家の横の織り機で織物をしていました。
その横では    同じ年頃の男の子が 投網をせっせと編んでいました。
これは男性のすることなんですね。

しばらく見ていたら 織り機を指して何か声をかけて来ます。
どうも「やってみないか」と言ってるみたい。
私?やっていいの???とジェスチャーで聞くと うなずいています。
初めての体験に大興奮して織り機の前に座りました。
が、全く何も分らない!そんな私に 一動作一動作手取り足取り教えてくれました。
はい、ここにこの糸を通して。次はこれをね。。。
てな感じで ラオ語会話帳片手にジェスチャーも 交えてのレッスンは実に1時間にも及んだと思われます。
1〜2度横糸を通して終わりだろう、くらいに考えていた私は、
しだいにいつ終わるのか心配になったほどです。
おかげで、暑さのせいか?ぼ〜っとして、何度も 同じ作業をしていながら、
なかなか覚えられなかったのが
辿々しいながらも自分でできるようなりました。
飽きもぜず何度も何度も、のんびりと教えてくれて
ラオスの人って気が長いなぁ、と思いました。

それが終わるとすぐ近くの織物市場 (女性達が自分達の織物を売っている)へ
案内してもらいました。
たくさんの織物があって どれを選んでいいのやら。
もっと知識と見る目があったら、掘り出し物が一杯 なんだろうな、と思いつつ、
いくつか気に入ったものを買いました。
織り物の値段は大変安く、綿なら美しい地模様の入ったものが、
ランチョンマットサイズで1ドル、テーブルクロスや、巻スカート1着分で4〜5ドルです。
綿の織り物でも縦糸と横糸の色が違うので、玉虫色に 見えてきれいです。
また絹でも、幅30〜40cm、長さ1、5mくらいで、結構細かい模様の織り物が10ドルくらいからあります。
値切れば少し安くしてくれる場合もありますが、そんなにふっかけるようなことはないと思います。
あっても本当にわずかな額でしょう。
あと、古い織り物が観光客には人気らしく、古いものが結構ありました。
どれくらい古いか聞くと、大体5年 〜15年とのことでした。
1枚、他のものよりかなり 渋い色合いで目を引いた絹のものがあり、
それは20年前 のものとのことでした。きっと草木染めなんでしょうね。
パノム村でも、ルアンパバーンでもたくさん売られていたのが、
幅40〜50cm、長さ1、5mくらいの綿織り物で、
周りに藍染め(または生成)の荒い木綿の平織りの布で10cmほどの枠をつけたものです
この枠はお土産として売るために新しくつけたものです。
これはたいてい赤地(もしくは黄土色)に大きく 鶏や蝶、
ヤギなどの模様(模様部分は絹のものもあります。) が絵画的に織られていて、 タペストリーにしたらいい感じです。    
素朴で温かく、折り込まれた動物達が何ともユーモラスです。

翌日あてもなくふらふら歩いていると、
メコン川の支流の カーン川がメコン川と合流する少し手前で、
向こう岸から 若いお坊さんが、細長く船体の非常に浅い船 (よく写真で見かける東南アジアの川に浮んでいる小さな木の船です。)に乗ってこちらへくるのが目につきました。
私はどうしても乗ってみたくなりましたが、
どうしようか迷っているうちに渡し船は向こう岸へ行ってしまいました。
そこで土手をおりて渡し場まで行ってみました。
そこから向こう岸の船渡しのおじさんに熱い視線?を送っていると、
しばらくしておじさんがこちらにやって来ました。
わ〜い!と船に乗り込み、向こう岸へと渡りました。
船のふちが川面の高さから2〜3cm?くらい高いだけで、
座ると視線がとても低くなり、 水の上を滑ってるみたいでした。
渡り終わるとおじさんが、土手の上を指して、あっちへ行ってごらん、といいました。
結構急斜面の土手をあがると、目の前には薮の中に続く道。
そう言えばラオスには今だ不発弾がのこってると聞いたことを思い出し少し不安に。
でも観光地からすぐのとこだし,道を歩けば平気なはずと歩を進めました。
するとすぐに民家が見えて男の子たちが実に真剣な表情でビー玉遊びをしていました。
ほっとしてさらに行くと、家の横で少女が機織りを していました。
これは、と思って遠慮がちに近寄ると、横で5〜6才の弟と妹が遊んでいてのどかな雰囲気。
またまたじっと機織りを見ていたら、やってみたら、と声がかかりました。
今度は少し余裕を感じてトライ。織りは昨日より少し複雑。
すくい織りというものでしょうか、ベースになる織りに加えて個々の模様ごとに、
違う色の糸を通していきます。
色糸を一色ごと、個々の模様ごとに通してやる作業は半分刺繍みたいな感じでした。
これで多色模様の織方が分りましたが、大変な作業だと言うことも良く分りました。
これを織っていた少女は12歳。もうりっぱに一人前の織手です。
この後、このお家でお昼ご飯をよばれたのですが、
小さな子たちも立派にお手伝いしている姿が印象的でした。

ルアンパバーンは観光地だけあってたくさんお土産を売る店があります。
必ずどこでも、織り物が天井から たくさんぶら下がっています。
そのどれもが手織り,けれども驚くほど安いのです。
ラオスではラーメン1杯が1米ドルくらいします。
けれど、織り物などの手工芸品は、作った人に一体いくら入るんだろう、
と心配になるくらいに安いんです。
ラオスの物価は日本よりはずっと安いですが 、
東南アジアの中で見るとそんなに安いとは思えないし、
ラーメンの値段と比較しても手工芸品が安すぎると思いました。
手作りのものがあまり尊重されていないのでしょうか。

前回お話したシェンコーの人たちは、織ったものをローカルバスで13時間もかけて、
町の市場の商人に売りに行くそうです。
が、売ったお金もバス賃を引くと、
「せっかく町まで来たから美味しいものでも買っていこうか」と少し買い物をしたら、
手許にはあまり残らないそうです。
もう少しよい値で売れたら、とは思っているけれど他にルートがないため,
市場の商人に売るしかないそうです。

一方で、最近は外国人に織り物が人気なため、ラオスの人びとも自国の織り物を見直し、
織り物に力を入れ始め、織り物の保護につながってるということも聞きました。
首都の方には、せっかく多大な労力を費やして織るのだから、
もっと質を向上してより付加価値をつけるための指導をする職業訓練所もあるようです。
(素晴らしい織り物でも、糸の始末などが大ざっぱだったりするんです。私はこのおおらかさが好きですが、よりよい値で売ることを考えると改善すべきでしょうね。)
バランスよく織り物のマーケットが育っていくことを願います。

今回、織り物を体験して、いかに労力のいるものか身を持って実感しました。
ちからもいるしいろいろ操作するのに、織り機が大きいので思いっきり手をのばしたりして、
けっこう身体も動かさねばいけません。模様を間違えないように
糸の通し方にも気をつけないといけないし。
がさらに、(織り物をされる方はよくご存じでしょう が、)
織りはじめるまでの仕込みが本当に大変で、
「実際に織り始めるところまでいけば後は楽なものよ」 とある女性が言っていました。
織り物って本当に労力のかかるものなんですねぇ。

>>ビエンチャンにある、
外国人向けにやっている工房です。
絣織の模様を染め分けるために
縦糸をひもで縛っている
ものと、機織の写真です。
織機が村のものとは違ってきっちり作られていますよね。
縦糸を通すクシのようなパーツも
村で作ったものはいまいちだそうで、
ビエンチャンで作られたものの方が
精巧でよいそうです。
ここで織られているものは、
とても洗練されていて、
織もきれいでした。ただしお値段もよいです。
(といっても日本人にとっては安いです。)


 

ラオスは織り物を見に行くだけでも価値がありますが、
それに加えて、素朴で笑顔を絶やさない人びとにこちらまで優しい気持ちになれるところです。
私にとってラオスは、実際に行くまでは本当に未知の国で、知人がいなかったら行くことはなかっと思いますが、
実際に行ってみると本当によい所でした。
織り物についても行く直前にある雑誌で紹介されていて初めて知り、
実際に現地で見て大きな興味を持ち始めたのです。
個人で奥地に行くにはまだ少し大変かもしれませんが、
首都ビエンチャンやルアンパバーンのような
観光地に行くのは全く問題ないと思います。
織り物がお好きな方には本当に本当にお薦めの所です。
これを読まれて興味を持った方はぜひラオスへ行って織り物をたっぷり見て頂きたいです。
長い文章におつき合いありがとうございました。    

とくなが ちえ *2000/5/4*(c)Chie Tokunaga 

おすすめリンク

  [ VISIT LAOS ]
ラオスの旅情報の公式サイト。
ショッピングページにラオスの布のお店情報あり。